介護を楽にするならスロープの玄関がおすすめです!
突然ご家族が入院され、現在はリハビリテーション中の方へ。
リハビリテーションの期間が終わり退院されると、お家での暮らしが始まります。
これからはじまるお家での暮らしは、以前とは違っています。
本人さんもご家族も、以前ならスムーズに出来ていたことが、思っているように進まないことも増えてくるでしょう。
特に外出するとき、これまでのように段差があると、本人さんとしてはそれだけで外へ行く気にならなくなるもの。
そこで今回は、本人さんにもご家族にも介護を少しでも楽にしてもらうためにおすすめな、玄関まわりのスロープについてお話していきます。
目次
1: どうして介護にはスロープのある玄関が必要なのか?
人は外出が嫌いなのではありません。
外出するとき、スムーズに準備が整わないとか、思っているように外出しにくいとか、段差が怖くて歩きにくいという理由で、少しずつ外へ出ることが減ってきます。
特に少しでも介護が必要な方の場合、足が上げづらかったり、杖をつきながらでないと歩きにくかったり、車いすに乗ったままでないと出られないということがあります。
こういった場合、現在住んでいるお家の玄関が、石やコンクリートで階段になっていたとしたら、本人さんにとっては外出したくない要因になってしまいます。
外出しないことが増えると、足腰の力が低下してきます。
気持ちもふさぎがちになり、興味を持つことが減ってきます。
そうすると、ベッドの上で過ごす時間が長くなり、本人さんもご家族も望んでいないにも関わらず、寝たきり状態になってしまう方もいらっしゃるのです。
寝たきり状態になると、本人さんの負担も増えます。そして、ご家族の介護の負担も増えてきます。
これはどちらも望んでいない状態です。
でも、玄関から外へ出る部分が、車いすでも、杖をつきながらでも、手すりを持って足を高く上げずに移動できるなら、本人さんも外へ出掛けてみようという気持ちになられるはずなんです。
そうすると、歩くことで筋力が維持できます。
外へ出ることで気持ちも明るくなり、他人とのふれあいの中で興味をもつことも出てくることでしょう。
たったこれだけのことで、ベッドの上だけで過ごす生活から離れ、不便な中にも楽しい暮らしを送ることができるのです。
ですから、私たちリフォームの専門家としては、介護が始まったご家庭には玄関のスロープ化をおすすめしています。
2: 玄関をスロープにして対策するポイント
玄関まわりをスロープにすることで段差の心配がなくなります。
そうすると今度は足下が不安定になってしまいます。
そこで、対策として3つのポイントを覚えておきましょう。
ポイント1:階段もつけておく
スロープだけにはせず、横に階段を残しておきましょう。この時の階段は従来のものよりも、勾配が少なく段差の低い階段にしておくと、訪問入浴介護に来てもらった人も入りやすくなります。
ポイント2:手すりをつける
スロープ部分には手すりを設置しておきましょう。これがあるだけで安定して歩けますし、車いすを押しているときに万一のことがあっても介助者が踏ん張れる可能性があります。
ポイント3:フットライトをつける
夜に出歩くことは減ってくると思いますが、足下を照らすライトがあると、冬で日が暮れる時間が早いときにも安心です。
3: 家族も本人も介護を楽にするには
在宅介護を楽にするためには、本人が自分で出来ることを増やすのがポイントです。
特に外出しやすい家の作りは、足腰を動かすリハビリにもなります。
外へ出ることで気持ちも切り替わります。
気軽に杖をついて出られる玄関。
車いすに乗ったままで出られる玄関。
いつまでも健康で楽しく暮らすためのリフォームを考えてみましょう。
4: 玄関以外にも介護が楽になる工夫をしておこう!
玄関まわり以外にも、在宅介護を楽にする工夫を考えておきましょう。
本人さんが自力で出来ることを増やすためには、次の3つのリフォームを工夫することが大切です。
(1)廊下には手すり
玄関のスロープと同じように、お家の中にも手すりをとりつけておきましょう。
手すりがあると安定しますので「転ぶんじゃないか」という恐怖心も少なくなり、ご自分の部屋から出てきやすくなります。
毎日少しでも動くことが必要ですから、健康維持や寝たきり防止のためにも手すりの取り付けを検討してください。
(2)トイレのリフォーム
トイレは誰しも自分で何とかしたいところです。
本人もそう感じておられるでしょうから、快適に安心して使える空間にリフォームを検討してみましょう。
例えば、トイレのドアを引き戸にすることで、
- 入り口をフラットにできるためつまずきにくくなる
- 車いすでも入りやすくなる
- 万が一中で倒れられてもすぐに対応できる
また、
- 介助者も一緒に入りやすい大きさにする
- 水が自動的に流れるセンサーを導入する
- トイレの中にも手すりを設置する
このような工夫をすることで、自分で排泄できる状態を作ることができます。
(3)浴室のリフォーム
浴室は事故が起こりやすい空間です。
そのため次のポイントに気をつけてリフォームすることで、かなり安全性を高めることができます。
- 浴室の床や浴槽の底をすべりにくい素材にする
- 洗い場を少し広めにしておくと介助者が入りやすくなる
- 浴室への入り口の段差を小さくする
- 浴槽へ入るとき足を大きく上げなくても良いようにする
- 手すりをつけて万が一の場合に踏ん張れるようにする
このような工夫をリフォームでやっておくと、在宅介護をされるとき本人も家族も楽に使えるので、小さなイライラを募らせることもなくなります。
5: まとめ
最初にもお伝えしましたが、本人さんが外へ出掛けやすい環境を用意しておくことで、結果的に介護の負担を減らすことができるでしょう。
どうしても家の中だけで過ごすようになると、ベッドで過ごす時間が増えてしまうものです。
そうすると、筋力も低下しますし、お腹も空かないので食事の量が減り、栄養不足や水分不足になることもあります。
その結果、退院してお家に戻って来られたときには元気だったのに、半年後には寝ている時間が増え、1年後には寝たきりと同じようになっているということもあります。
これでは本人さんも楽しい暮らしではありません。また、ご家族にとっても介護の負担が増える一方。
このようなパターンにならないよう、まずは一歩でも二歩でも自分で外出できる環境を用意しておきましょう。
小さなことですが、こういった工夫で介護が楽になりはじめます。